前回は、タバコの有害物質が身体に及ぼす悪影響について、医学的なお話も踏まえながらご紹介しました。
遺伝子レベルでの損傷を引き起こしてしまうほど危険なタバコの有害物質は、絶対に身体に取り込まないように、細心の注意を払いたいものですよね。
さて、今回は、タバコを「辞めたい」と考えている方も、誰かにタバコを「辞めてほしい」と思っている方にも知っていただきたい、「タバコ」の色々な話をまとめていきます。
日本と世界のタバコ事情に注目しながら、わたしたちが今するべきことについて考えていきたいと思います。
タバコって世界共通なの?1箱あたりの価格から見えること
突然ですが、タバコ1箱あたりの値段は国によって違うという話を聞いたことはあるでしょうか?
日本では1箱あたり400~500円で設定されているタバコですが、他の国と比較してみると、その価格の差に驚かされることでしょう。
- オーストラリア・・・・約2,000円
- イギリス・・・・・・・約1,400円
- アメリカ・・・・・・・約 750円
- フランス・・・・・・・約 900円
- ドイツ・・・・・・・・約 800円
- 日本・・・・・・・・・約 400円
すべて、タバコ1箱あたりの価格です。日本と比較すると2~3倍の値がつけられていることが分かります。このようにタバコの価格を上げることには、どんな意味があると思われますか?
上記に挙げたなかで最も高い価格設定なっていたオーストラリアでは、タバコ1箱あたりの値段を引き上げることでタバコを手にいれられなくなる環境を整えています。つまり、国内における「喫煙者の数を減らしたい」という政府の意図が隠されているのです。
毎年多くの人々が喫煙による健康被害で命を落としています。オーストラリアの場合、喫煙で命を落とす層が貧困層であったため、なかなか手にいれられない高級嗜好品として位置づけることにより、購入できる人そのものを減らすような対策を行っているとのことでした。
価格が上がれば気軽には買えなくなりますよね。実際に日本で行われたあるアンケート調査の結果においても、「タバコの価格が高くなれば手を出す人が減少する」という可能性が指摘されています。
海外における「タバコ」の捉えられ方:日本以外の国における喫煙・禁煙事情
世界では今や「禁煙」が常識。
タバコがもたらす健康被害が広く知られるようになった今、タバコを吸う人たちに対する世間の目はかなり厳しくなっているのが現状です。
喫煙者は生産性のない無駄なことにお金や時間を使い、自分の身体にダメージを与えている愚かな人とみなされることもあります。
米国の前大統領オバマ氏は、喫煙者であったことから批判を受け、「禁煙表明」を行った時期がありました。
米国では特に、政治家が喫煙者であることにはマイナスイメージがあるようで、近年の大統領には喫煙者がほとんどいないと言われています。
現大統領であるトランプ氏は、お酒もタバコもやらないことで有名ですね。
タバコの吸いすぎやアルコールを摂取しすぎることは自制心のなさを露呈することになります。
自分を律することができる人の方が、評価が高いのは当然のことなのです。
さらに、社会的なステータスが上がり年間所得が高くなればなるほど、喫煙者の割合は減るという調査結果(厚生労働省「国民健康・栄養調査」,2010)は、日本でも報告されていました。⇒PDFが開きます
オーストラリアでも貧困層で喫煙率が高くなっているという事実がありますが、これは世界中で共通している現象なのかもしれませんね。
海外では日本よりもタバコに対する厳しい目がありますが、室内を全面禁止にした一方で、歩きタバコが増加してしまうという社会問題が起きている国もあります。
喫煙による健康被害で命を落とす人は世界中にたくさん存在しているという状況も、未だ劇的な改善はみられません。
では日本ではどうでしょうか。
日本は世界と比べると、20~30年ほどタバコの対策が遅れていると言われています。
タバコ1箱あたりの価格が他国よりも安いのは、意識の低さによるものなのかもしれません。
これまでの記事でもご紹介している「見えないタバコ煙」の被害、すなわちサードハンドスモークについても、最近になってようやく問題視され、対策が始まったばかりという印象があります。
室内は全面禁煙が当たり前の国が多い現状を考えると、未だに「分煙」スタイルが多くとられている日本は、やはり対策が遅れていると言わざるを得ませんね。
とはいえ、今年の4月からはようやく、健康増進法の改正を受けて室内における喫煙環境の取り扱い方が変わるようです。
基本的に喫煙室では飲食ができないような形式がとられ、受動喫煙のリスクを最小限に抑えるための取り組みが始まりました。
喫煙者であることにはデメリットしかない
禁煙をすることにはたくさんのメリットがありますが、喫煙者で居続けることにはデメリットしかありません。
良くないことと分かっていても続けたいとき。それを必死に正当化してしまうのが、我々人間の弱い部分です。
タバコが身体に悪いと分かっていても辞めたくないという気持ちが強いと、「このタバコなら安全」とか「タバコを吸ってストレスがない方がいい」という理由を見つけようとしてしまうのです。
「タバコにはそれほどの害はない」とか「タバコを吸っているとボケない」という言葉はすべて偽りです。
そして、安心・安全なタバコはどこにもありません。
タバコを辞めることは、自分の強さを証明する良い機会でもあります!
タバコに頼らなくても生きていける身体を作るために、まずは運動を始めるのも良いかもしれませんね。
自分磨きのために、勉強をしたり、習い事を始めてみるのも良いかもしれません。
目先をタバコ以外のものに向け、「禁煙」を成功させることは、人間力を向上させるチャンスなのです!
さあ、今すぐタバコから自分を解放しましょう!
<参考>
オーストラリアでタバコ1箱が3200円になった背景 ZUU online
「年収1億円」以上の人が、タバコを吸わない4つの理由 DIAMOND online
オバマ氏「禁煙します」 米民主党の大統領候補、保守系の攻撃受け 朝日新聞