前回は「喫煙者の家」に潜むリスクについて、専門的な話も少しだけ交えながら危険性について解説しました。
サードハンドスモークの怖さは、「長い時間をかけながら、身体に多くの有害物質が蓄積されていくこと」にあります。
今回からは「家族」がテーマ。あなたの大切なお子さんを「喫煙習慣」や「サードハンドスモーク」から守るために、何をすればよいのか?
家族の健康を守るために、どのような意識が必要なのか?という点について考えていきたいと思います。
お子さんを受動喫煙の被害者にしないために
「子どもを喫煙者にしたい」と思っておられる親御さんはいらっしゃいますか?
おそらく、ほとんどの方がNOと答えるのではないでしょうか。ご自身がタバコを吸っても吸わなくても、「タバコは身体に悪いものだ」という認識があれば、愛する我が子にタバコを勧めようとは思わないはずですよね。
健康を害する嗜好品としても知られているタバコですが、タバコを吸うことでプラスの効果を得ることはありません。
あなたやあなたのご家族が喫煙者である場合、あなたの家は常に「受動喫煙」のリスクが高い環境となっています。当然のことながら、一緒に暮らすお子さんも常にタバコ煙の有害物質にさらされているということになります。良いことはひとつもありませんよね。
大切なお子さんを受動喫煙の被害から守りたいと願うのであれば、
- 子どものいないところで吸うから大丈夫
- 外に出て吸うから大丈夫
- 換気扇の下で吸うから大丈夫
という選択肢は出てこないはずです。
まずは「誰も吸わない家」を作ること。この環境づくりが必要です。
小さいころから教えたい「吸わない」生き方
前回までの記事でもたびたびご紹介してきた通り、喫煙者の住む家の壁・天井・カーテン・洗濯物などには、タバコ煙の有害物質がしつこく染み付いています。
そしてその有害物質は静かにあなたとご家族の健康を蝕んでいくのです。
ここである調査をご紹介したいと思います。少し前の調査ですが、奈良県郡山保健所の山田全啓氏は平成22年度に開催された『健康政策医学サマーセミナー』において、「家庭内に広がる喫煙の世代間連鎖」という講演を行っており、喫煙習慣が世代間でどのように継承されてしまうのかを解説しています。→講演資料こちらから(PDFが開きます)
調査対象は中学校20校(4,776名)・高校15校(5,047名)であり、これら児童生徒の生活習慣や身体状況、タバコや飲酒の経験などを尋ねています。
特に注目したい結果だったのが「あなたはたばこをどこから手にいれますか」という質問に対し、「自動販売機」「友達」「自分の家」と答えた児童生徒の割合が高かったことです。さらに、「喫煙を経験した(あるいはしている)場所」については、「自分の家」「友達の家」「先輩の家」という回答が目立ちました。
家族に喫煙者がいれば、タバコが手に入りやすい環境となります。年齢が下がるほど、「自分の家」で入手している傾向があることも分かりました。つまり、小学生のうちからタバコに手を出してしまう子どもの多くは、「自分の家」にあるタバコを吸ってしまったということが分かったのです。
その他、調査結果から明らかになったことは、家族に喫煙者がいるほど子どもの喫煙経験が高くなること、子どもの常習喫煙者が多くなること、などでした。
保護者が喫煙者である場合、子どもの喫煙を注意しない傾向があることも分かっています。自分が吸っている手前、あまり強く注意できないのかもしれませんね…。
喫煙開始年齢が早ければ早いほど、喫煙本数は増加し依存傾向が強くなることも示唆されていますので、何としても「吸わせない」環境を作らなくてはなりません。
タバコがいらない人生の手本を見せる
親が喫煙者である場合、「吸わない」選択肢を子どもに示すことができません。
タバコを吸うとすっきりする・・・タバコでストレス解消する・・・
こんなニコチン依存の状態を子どもに見せてしまった場合、「大人は疲れたらタバコを吸うものなのだ」というインプットを与えてしまうことになるのです。
タバコが身近になってしまうと、タバコへの抵抗感がなくなってしまうのです。
大切な子どもには喫煙と無縁の人生を歩ませたい・・・
そう願うのであれば、まずはあなた自身が禁煙し、「吸わない」生き方、「吸わなくても大丈夫」な生き方を、手本として示す必要があるでしょう。
世代間連鎖を断つためには、小学校低学年までに家庭の無縁環境を整えるようにと推奨されています。
お子さんが生まれる前に禁煙をするのが一番ですが、まだできていないという方は、これを読んだ瞬間からタバコを捨てていただきたいと思います!
さあ、今すぐ、手元にあるタバコをゴミ箱に捨ててください!
「吸わない」人間に育てるための簡単な方法
喫煙者はタバコとともに生きている状態にあります。一日中、タバコを吸うために生きていると言ってもよいでしょう。
本人も気づかぬうちに、タバコに人生を支配され、タバコの奴隷になっているのです。それが依存症の怖さでもあります。
タバコに依存しなくてもよい人生の方が、時間も有効に使え、余分なお金もかからないはずです。
子どもを喫煙者にしないための簡単な方法は、
あなたが「吸わない」こと。
そして、
家の中にタバコを持ち込まないこと、
なのです。
タバコが身近であればあるほど、タバコを吸うことへの危機感も薄れてしまいますので、親として注意したいですね。
次回も「子ども」をテーマにして、タバコから距離を置くべき理由を考えていきたいと思います。