受動喫煙

喫煙者の家(部屋)に潜むリスク:逃げ場のない家になっていませんか?

前回は「禁煙」をテーマに、タバコの中毒性がどれほど怖いものなのかを説明しました。

さて今回は、家の中におけるサードハンドスモークの危険性について、「家の中(部屋)」という環境に注目しながら考えてみたいと思います。

少し専門的な内容もご紹介しながら、サードハンドスモークに関するさらなる理解を深めていきます。

タバコ煙という環境問題

専門家たちの間では、タバコの煙(タバコ煙)は環境問題のひとつとして深刻に捉えられています。

ここではまず、タバコ煙の種類とその関係性を説明している図を見てみましょう。

以下は、『室内環境』という専門誌に投稿されたある論文からの引用です(野口・鈴木・山口,2018)。

英語で書かれていて少し分かりづらいかもしれませんので、簡単に確認していきます。

Thirdhand smoke:THS

図を見ていくと、右下の方に人の横顔が描かれていますが、これは喫煙者を表しています。

横顔のすぐ下には、英語で「主流煙(Mainstream smoke:MSS)」と記載されており、その主流煙の先には、楕円で囲まれたなかに、SSSとPuffとあるモヤモヤが描かれています。

SSSはSide stream smokeの頭文字をとったもので、副流煙という意味です。Puffは喫煙者から排出される呼出煙を指しています。

この2つ(副流煙+呼出煙)が合わさり拡散されることで、環境タバコ煙(Environmental tobacco smoke:ETS)が発生します。

以前記事で説明した点とも重複しますが、もう少し続けて見ていきましょう。

図の上部に向かって矢印(↑)が伸びているのが見えるでしょうか。

矢印の先には、受動喫煙(Passive smoking/ Secondhand smoke:SHS)とサードハンドスモーク(Thirdhand smoke:THS)と書かれています。

受動喫煙(SHS)とサードハンドスモーク(THS)の大きな違いは、タバコ煙の種類です。

受動喫煙は喫煙者から排出された煙から直接起こっているのですが、サードハンドスモークは喫煙後に残留したタバコ煙の成分が、壁・天井・服・髪・空気中の粒子などに付着し、そこから漂うことによって起こっています。

喫煙者を表す横顔のシルエットの後ろにモヤモヤと出ている矢印がありますが、これがサードハンドスモークです。

サードハンドスモークには、残留・反応・再放散・再浮遊という4つの特徴があると言われています。時間があっても有害物質は消えず、付着したり漂ったりして、特定の場所に残留し続けます。

様々な経路を通りながら、人の身体に悪影響を及ぼし続けるということを知ると恐ろしくなるのではないでしょうか。

喫煙者の家(部屋)はサードハンドスモークの温床

サードハンドスモーク(Thirdhand smoke:THS)という概念は比較的新しいものであるため、研究途中の部分もあります。

とはいえ、地道な研究が行われる中で、残留するタバコ煙の成分に長時間さらされることは、私たちが思う以上に大きなリスクを生じさせるものであるという事実が明らかになってきました。

日本における分煙の考え方が大きく変わってきたのも、このような研究結果によるものなのです。

タバコの煙にさらされたコットンクロスから受ける影響を推定した研究によれば、ここから起こるサードハンドスモークは、受動喫煙と比較して何倍、何十倍ものニコチンを含んでいるとのことでした。

わずかに付着した残留物であっても、長時間さらされることによって、赤ちゃんから子どもの場合は約7倍、成人では24倍以上のニコチンをうけてしまうと考えられています。

タバコ煙の被害が最も大きくなるのは、見える煙ではなく見えない煙を吸ってしまったとき。

喫煙者の家は、まさにサードハンドスモークの温床と言っても過言ではありません。

安全に過ごせるはずの家が、常に大気汚染にさらされているのと同じだったら…
とても安心できませんよね。

毎日過ごす家でサードハンドスモークが常に起こってしまう状況は、何としても避けたい…

そう思われるのであれば、今すぐ「禁煙」への決意をしていただきたいと思います。

家中に染み付いた有害物質はどこへ?:家族や周りの人に与える影響

臭いと叫ぶ3人の女性

染み付いた有害物質はとれるのか?という疑問を抱く方もおられるかもしれませんね。答えはNOです。

タバコ煙の有害物質は、付着した場所によって様々に変異していきます。完全に影響がなくなるまで除去することは、非常に難しいと考えられているのです。

結局のところ、家の中に一人でも喫煙者がいれば、その家はもう安全な場所とはいえません。

・外でタバコを吸ってから家の中に入れば問題ないのでは?
・吸う頻度を減らせば大丈夫なのでは?

そんなことを考えたあなたは、まだタバコ煙の本当の怖さを分かっていませんね。

屋外で喫煙したとしても、衣類や髪、自分の吐き出す息から「サードハンドスモーク」は簡単に起こってしまいます。

タバコ煙による健康被害からあなたの家族や大切な人たちを守りたいのであれば、
今すぐ「禁煙」するしかありません!

見えないわずかな有害物質でも、長時間さらされることで健康リスクが高まります。

サードハンドスモークの怖さは、気づかぬうちに健康が脅かされているという点なのです。

次回からは、「家族」によりフォーカスしながら、タバコが与える害について詳しく考えていきたいと思います。

 

<参考資料>

野口美由貴・鈴木義浩・山崎章弘(2018)「サードハンドスモーク ーもう一つの喫煙環境問題ー」『室内環境(Involvement Environment)』21, 51-60(論文DL可)

広島県医師会 意外にあなどれないサードハンドスモーク(三次喫煙)

厚生労働省 e-ヘルスネット たばこの煙と受動喫煙

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